ホーム 上へ 再循環型HDFの評価 再循環型HDFの評価 SN装置によるpush/pull ダブル・ポンプHDF セル・ウォッシュHDF プールBMGの除去 変速置換HDF

シングルニードル機構を利用したPUSH/PULL    

 

 シングルニ−ドル機構を利用した簡易型Push/Pullを考案し、そのBMG除去について検討したので報告します。従来のHDF法はその煩雑さや高価である点からその使用が制限されるのが現状です。そこで、従来からある機器の利用や安価な機器の制作により汎用性の向上に努めてきました

 

図1は我々が行っているHDFの回路図です。ダブルチユ−ブの輸液ポンプを使用して輸液と排液を行います。輸液と排液が同量に制御されているので輸液以外はHDと同様の手技でおこなわれます。

 図2は我々が行っているP/Pの回路図です。パルスモ−タ−でピストンを往復させる装置を作製してPush/Pullを行いました。

 図3は昨年、本学会において報告した再循環式HDFの回路図です。この方法は、ダイアライザ−入口側と出口側との差圧により濾過、逆濾過が生じる原理を利用し、血液再循環回路を用いることによってその差圧を拡大させてBMG除去の効率を上昇させるものです。本法によるBMG除去能はHDFやP/Pとほぼ同等である成績が得られました。

 いずれの方法においても効果を得られましたが更に安価で簡便な方法として、シングルニ−ドル機構を利用した簡易型のPush/Pullを施行しました。

 コンソ−ルはニプロ社NCU7、ダイアライザ−は東レ1.6uポリスルフォン膜BS−1.6Uを使用しました。通常のコンソ−ルを用いてSNを作動させた場合、静脈圧上限値に達した時に血液ポンプは停止するため外部ポンプを接続しました。静脈圧の設定下限ではSNクランプは閉塞し、静脈圧が設定上限に達するとクランプが開放されます。この操作を繰り返して治療を行いました。

図5

 静脈圧の上限及び下限値を設定するため、120〜200、170〜250、220〜300mmHgの3通りの静脈圧における閉塞時間と開放時間を測定しました。この時のQBは200ml/minでした。開放時間はそれぞれ6.7、4.0、2.7秒でした。静脈圧の設定が高いほど開放時間が短くなりました。また閉塞時間はほぼ一定でした。

 静脈圧220〜300の設定において1分間に13サイクルの動作が得られました。従って、この静脈圧設定を用いて、SNを利用したP/Pを行い、BMGの変化を検討しました。またダイアライザ−の濾過量を測定するため、血液回路のみの場合の開放および閉塞時間を測定しました。ダイアライザ−を接続した回路の場合では、血液回路のみの場合と比べ約2倍でした。

 血流量と閉塞時間により計算した1サイクルあたりの血流量はダイアライザ−を接続した場合で6.0mL、血液回路のみの場合で3.7mLとなり、ダイアライザ−を接続した場合で、2.3mL多くなりました。ダイアライザ−の血液ボリュ−ムの上昇も考えられますが、濾過によるものと思われます

 

図6

 血清BMG除去率は30分で30%1時間で45%4時間で67%でした。またBMGクリアランスは100mL/min前後を維持してました。

 

図7

 従来より我々が行っているパルスモ−タ−を用いたPush/Pullとの比較ではBMG除去率もBMGクリアランスもほぼ同様の結果が得られました。

 BMG除去率は共に約70%、BMGクリアランスは共に100mL/minでした。また、HDF、再循環型HDFとの比較においてもほぼ同様でした。従って、本法はBMG除去に有用な方法であると思われました。

 

図8

 一方この操作によって、逆濾過が発生するためETフィルタ−を接続しエンドトキシン濃度を測定しました。エンドトキシン濃度はRO装置で15.3pg/mL 脱気槽では26.8pg/mLコンソ−ル供給前で44.2pg/mL、ETフィルタ−後では0.3pg/mLまで低下しました。従って、シングルニ−ドルを用いたP/Pを行うに際して、エンドトキシンフィルタ−を用いて本検討を施行しました。


 

 


 閉塞時の血流量



1サイクル(秒)


血流量/1サイクル(ml)


DZ有り


1.8


6.0


DZ無し


1.0


3.7

1サイクル(DZ有り): 200ml × 1.8/60 = 6.0ml

1サイクル(DZ無し): 200ml × 1.0/60 = 3.7ml

 ダイアライザー内の膨張量を無視すると、1サイクル当たり2.3mlの濾過が得られる事になります。また、1時間当たりの置換量を下の式で計算しました。

2.3(ml)×13(サイクル/min)×60(min) = 1,794(ml/h)

 SNの静脈圧設定(例えば250〜300や、より高い圧)、血流量の変更等により、より高効率な治療も可能と思われます。両方とも上げるのが最短距離ではありますが、コンソールの仕様、安全性等の検討が必要です。

 

 検査結果

 BMG除去量、BMGクリアランス共にPush/Pullとの差は見られませんでした。また、治療全般にわたってBMGクリアランスは100ml/minを維持していました。透析廃液からは約200mgのBMGが検出されました。

 今回はポリスルフォン膜を使用しましたが、トリアセテート等のハイフラックス膜を使用した場合でもBMG除去能は向上しました。

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