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血清鉄の異常に高い長期透析患者に対する血液浄化法の比較 長期透析患者の貧血に対する輸血により、全身の鉄沈着をきたし、中にはヘモジデローシスを呈する症例もあります。それに対して鉄キレート剤であるメシル酸デフェロキサミン(以下DFO)による鉄除去法に関する報告は敬見されますが、各種血液浄化法について、その効果を比較した報告は見られません。そこで今回、我々は皮膚への鉄沈着が著しく、血清鉄の高い血液透析患者に対し、各種血液浄化法に加えてDFO投与を行い、透析液、濾過液、および廃液の鉄除去量を測定し、その効果を比較検討しました。 症例
血液透析患者に対するDFO投与による鉄除去の試みは、4症例に対して施行しました。 症例は血液透析歴4〜11年で、いずれの症例も血清フェリチン値が5,000ng/ml以上で、また貧血に対して輸血を受ける頻度の高い例ばかりです。症例1に対しては Double Filtration Plasmapheresis を施行しました。 症例2および3には Hemodialysis(以下HD) を施行し、症例4にはHDおよびHemofiltration(以下HF)を施行しました。それぞれで、透析液、排液、濾過液中の鉄を測定しました。なお、症例3および4に対しては各種透析膜による効果の差を比較しました。また、DFO非投与群として、血清フェリチン値が5000ng/ml以上の血液透析患者2名を対照1,血清フェリチン値が1000ng/ml以下の血液透析患者5名を対照2としました。 DFOは3価の鉄イオンと結合して分子量約700のフェリオキサミンBとなり、腎機能の正常であれば尿中に排泄されます。 使用方法はDFO500mgを生理的食塩水100mlに溶解し、HD,HF開始時より約60分間で点滴静注しました。 HDはPMMA、EVAL、Cuprophan膜を使用し、HFはセルロース・トリアセテート膜を使用しました。Double Filtration Plasmapheresis は1次膜にPMMA、2次膜にPAN膜を使用しました。 症例3および症例4に対するDFO投与時のHDにおいて、透析液中への鉄の除去量が、対照例に比し、有意に高値を示しました。 症例4のHF施行時にDFOを投与した際の濾液中の鉄の濃度です。この図のようにHDと比較すると約2.5倍でした。 透析液または濾液中の啓示的な鉄の濃度曲線と透析液流量、濾液量よりおおよその鉄除去量を算出しました。 そこで症例3及び症例4について各種透析膜使用時の鉄除去量を比較しました。両症例とも1.56uのPMMA膜使用時の鉄除去量を100%として比較しました。 図に結果を示します。分子量1000以上の除去能に優れた膜ほど鉄除去能は優れていました。特にHFにおいては基準HDの約4倍の除去能を示しました。 次に1回の各種血液浄化法による平均鉄除去量を比較しました。HDは1.56uPMMA膜使用時の平均を示しています。症例1では double filtration plasmapheresis によりDFOを使用しなくとも大量のフェリチン除去が可能であり、除去量はDFO使用時のHDと同等でした。またHDおよびHFではDFOを使用しないと鉄除去はできませんでした。一方、症例4ではDFOを使用してHFを施行すると特に大量の鉄が除去できました。 各症例に対するDFO投与時のHDで総鉄除去量に、かなりの個人差がありました。 写真は症例4の4ヶ月間のDFO治療前後の顔写真ですが、皮膚の色素沈着が改善されています。 症例3はDFO投与を32ヶ月間に渡り継続しています。1.56uPMMA膜を使用しています。 この症例では血清フェリチン値は、緩徐な減少傾向を示しています。血清鉄値がDFO開始後増加しているのは、キレートされたフェリオキサミンBを同時に測定しているためだと考えられます。このような症例に対しては継続的なDFO投与が必要と考えますが、未だ十分な効果はなく、この症例におけるDFO療法は、なお長期的な観察が必要です。
まとめ 1.DFOを使用せずとも double filtration plasmapheresis により大量のフェリチン除去が可能でした。 2.DFOを投与しないとHD,HF共に鉄の除去はできませんでした。 3.DFO療法において、HFはHDの約4倍の鉄が除去できました。 4.DFO療法には分子量1000程度の除去能に優れた膜が鉄の除去能においても優れていた。 5.長期透析中で、血清鉄、フェリチンが著しく高い患者に対しては、DFO療法により十分な鉄除去が可能でした。 |