HD時の昇圧剤

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HD時血圧低下患者に用いる昇圧剤

 

赤山祝子 井出豊子 向井孝子 相沢たかよ 近藤清隆 大貫順一 寺尾誠心 木村典子

 

透析中の低血圧患者のコントロールに約1年6ヶ月従事してきた。その間、色々な方法を用いたが適切な透析を行うことができず、昇圧剤の選択及び使用法を余儀なく検討するに至った。一症例をここに報告いたします。


現病歴
○川○○朗   62才  男  無職
    昭和46年     高血圧
       52年 1月 下肢浮腫  呼吸困難
                高血圧(BP210/110)
            7月 慢性腎炎と診断
            9月 顔面浮腫  下痢
                某病院へ入院
                尿毒症と診断
           10月 腹膜灌流
           12月 血液透析開始  BuN  111.4
                          Cr      8.3
                          BP    170/90
        53年 7月 当院へ転院

現症(昭和55年1月)
                 身長  150.5cm
                 体重(dry weight)  48kg
                 多重増加/HD  2〜3kg
                 心音  心尖部収縮期雑音
                 腹水  軽度あり
                 外来透析  4時間 × 3回/週
                 栄養、水分自己管理不良

 

 患者は62才の男性で独身、無職。原病歴は昭和46年高血圧を指摘され、某病院へ入院、腹膜灌流を経て、同年12月より血液透析を開始、週2回10時間の透析を行っていた。

 53年7月、当院に紹介され、現在、外来透析を週3回12時間行っている。1ヶ月の約半分以上が外食であるため、食事、水分及び栄養等の管理は全く不十分であった。

 

検査所見(昭和55年1月)

末梢血  WBC 6400  Eo 5
      RBC 400万  Hb12.6  Ret 15


血液生化学
      TP 6.4  BuN 58  Cr 18.1  UA 8.7
      T-Cho 148  TG 156  βLip 36
      Na 144  K 5.7  Cl 106
      Renin 2.4  3.6(血圧低下時)

      Angiotensin T 46  Angiotensin U 105

眼底所見 
      KWV(白斑 動脈細狭)

CTR 52.2%
ECG V.aVF、V6、STT下降(0.05mV)
    心筋障害  Renin 2.4  3.6(血圧低下時)

UCG 作室肥大  心筋腔液貯留なし

 これは、今年1月の検査所見で、透析困難のため、クレアチニンが18.1mg/dlと高く、軽度の貧血があり、眼底所見では動脈硬化が著しく、心電図では心筋障害を示しています。

 

 当初は血圧低下に対し、カルニゲン1/2A又は1Aをワンショットで使用していたが、CTRが52.8%から61.5%にまで増大したため、毎回の透析でドライウェイトを48kgを保持するように心がけ、CTRは改善してきた。

 

 ところがカルニゲン使用量が増えてきたため、生食500mlにカルニゲン5Aを混入し、持続点滴を行った。

 この方法で約6ヶ月間大きな血圧の変動は防ぐことができたが、薬療の増加のみでコントロールする事は困難となった。

 

 アラミノン1Aを生食500mlに混入し、持続点滴で使用するようになった。この時点で血液浸透圧を下げない目的で透析液のNa濃度を145mEq/Lに切り換えた。

 

しかし、アラミノンの継続使用により透析中の脈拍が非常に弱くなり、その上透析終了後に起立性低血圧を生じるようになった。

 

 アラミノンの増量により、起立性の低血圧は益々悪化し、透析終了後血圧の快復に時間がかかるようになった。

 

 次に塩酸ドパミンとカルニゲンの同時使用を行った。

 現在、塩酸ドパミン100mgっを生食500mlに混入したものとカルニゲン3Aを生食500mlに混入したものを毎時200ml前後で同時点滴している。その結果、透析中血圧の維持も良好で、終了後の血圧も順調にコントロールされている。

 

スライド 9

考察

 以上の経過をまとめると、この図のようになる。カルニゲンのワンショット使用は一時的に血圧上昇は見られるが、徐々に薬療が増加した。カルニゲンの持続点滴も比較的長期間維持することができたが、やはり使用量は徐々に増加した。

 アラミノンの使用では透析終了後著しい起立性低血圧を起こし、コントロールが不可能となった。

 そして現在、塩酸ドパミンとカルニゲンの同時点滴注入により、血圧の維持は容易となり、ドライウェイトを目標に除水の良いダイアライザーの使用も可能となった。

 

結語

 以上昇圧剤の使用法と選択について検討してきた。現在用いられている主な昇圧剤はこの表に示すとおりである。

 塩酸ドパミンは比較的副作用が少ないとされているが、その薬効が長期に渡って使った場合、どのような結果になるのか、これからも経過観察が必要と思われる。

 この症例のように年齢的にも全身の動脈硬化が著しく、循環血漿量の変動に敏感に反応できない場合、血管透過性が良いといわれている、高浸透圧液の使用や、また最近話題となっている血液濾過法の適応や有効性など、今後、更に検討していきたい。

 

第8回東京透析懇談会

昭和55年2月24日(日) 

  千代田区神田駿河台3−6  全電通労働会館