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Plasmapheresisに於ける技術的対応と問題点

 

高松病院

大貫順一 神田美衛 近藤清隆 寺尾誠心

関東労災病院

川崎忠行 菅谷弘之 湯浅正平 瀬在義則 前田貞亮

東葛クリニック

今井祐二 松村博之 松金隆夫 鈴木満

 

 

 近年血液浄化療法も多彩を極め、比較的その治療が難しいと言われている難病に適応されてきました。なかでもPlasmapheresis、とりわけ、膜濾過血漿分離法は、1978年井上らによって、合成高分子膜を用いて血漿分離を臨床的に応用して以来、急速に普及し、一部の疾患に於いては、すでに保険適応にまで至っています。しかしながら、その厳密な方法には問題が多くあります。

 そこで、今回我々は、回路構成を始めとする各メソードや温度条件の違いによるデータをマニュアル法を基にした実験を交えて紹介し、Plasmapheresisの技術的対応について考察を述べます。

 

表−1(プラズマフェレーシスの回路法の分類)

 

 始めに、血漿成分分離器(以下フィルターと略す)のメソードの違いを説明します。

 1段目のIn→Out・Out→Inは除去物質をフィルターの内側から詰めるか、外側から詰めるかの違いで、Out→Inの方が膜面積とボリュウムの点で多くのプラズマを処理できるが、膜孔径や膜質により差を生じるので、注意を要します。

 2段目のOne−Way・Two−Wayはフィルターに対して、1方向からと両方向からとの詰め方の違いで、One−Wayに比べてTwo−Wayの方がフィルターの中央から均等に詰まるように思われますが、詳細は不明です。

 3段目のDiscardは通常Partial Discard(部分的廃液方法)とも呼ばれ、血漿流量20〜30ml/minに対して4〜6ml/minの割合で廃液されます。専用コントロール機械によってはフィルター内圧が設定値に達した時のみ設定時間内だけ廃液されるものがあります。この方式では、高濃度液の排出効果により濾過圧の上昇を遅くしています。しかし、置換液の種類、量、及び注入部位により変わってくるので注意を要します。

 4段と5段目では再循環の方式の違いで、排液リサーキュレーションと濾液リサーキュレーションの2方式があり、前者は100〜500ml/min、後者は40ml/min程度の流速で行われます。この方式では、膜面の洗浄効果により、蛋白の付着が少なく、フィルター内圧の上昇を防止することが出来ます。

 以上のような特長ある方式を組み合わせる事により、20通りもの方式が選べる事になります。それでは、この組み合わせを通常多く行われているメソードの具体的な回路図で説明します。

 

 

 図−1は血漿を再循環させながら膜の内側から外側に詰める方式です。この方式で、再循環と廃液を止めて、4〜10℃程度に冷やすとクライオフィルトレーション(ストップあるいはデッドエンド)方式となります。

 図−2

 図−2は濾液を再循環させながら膜の内側から外側に詰める方式です。

 

 図−3

 この図は血漿を再循環させながら膜の外側から内側に詰める方式です。

 それでは、これらのメソードの1部に於ける、篩い係数(SCと略す)及び、TMP変化を示します。

 

図−4

 図−4は濾液を再循環させながら膜の外側から内側に詰める方式です。

 

 それでは、これらのメソードの1部に於ける、篩い係数(SCと略す)及び、TMP変化を示します。

 

 図−5

 これは廃液リサーキュレート・ディスカードでのOUT→INとIN→OUT方式のインビトロでの比較です。SCはIN→OUT方式ではプラズマ処理量2L当たりで大きく下降しますが、OUT→INでは変化無く続行している。また、TMPもIN→OUTでは処理量2Lで300mmHgまで上昇するが、OUT→INでは変化無く継続している。これは、OUT→IN方式が多くのプラズマを処理出来ることを示している。

 

図−6

 これも同じ条件でOUT→INでのSCとTMPの変化を示して折り、@Partial Discard & Recircuration、APartial Discard、BOne Way Ded Endの比較です。@は他の方法に比べ、SC、TMPとも処理量3.5L当たりまで殆ど変わらず、急激な変化は示しません。つまり、他の方法よりも多くのプラズマを処理できます。

 

 次にフィルター内温度の違いによるTMP、SCの変化を示します。

 

図−7

 図は、エバフラックス4AのTMPが500mmHgに至るまでのプラズマ処理量を示したものです。これから37℃に比べ、20℃の方が少ない処理量で目詰まりするのがわかります。

 

図−8

 これはプラズマセパレータに用いられる膜のアサヒAP−06−Mに於ける、SCの変化を示しています。この中で、4℃と15℃はPfが300mmHg、20℃は30mmHgの値です。総蛋白では、4℃で0.53、15℃で0.66,20℃で1.00となり、他のパラメータ同様、冷却すると目詰まりを起こしやすくなります。

 

図−9

 図は当院での関節リウマチの治療経過です。クライオ・フィルトレーションとTwo-Wayデッド・エンド方式との比較です。前者はカスケード・フローで10℃、後者は4A−3Cで20℃のフィルター内温度です。クライオ・フィルトレーションの処理終了目標であるフィルター内圧が+300mmHgになるまでの時間と同一にするために、4Aの温度を20℃としました。その結果、処理時間の平均値は1回目でカスケード群51分、4A群で49分とほぼ同一となり、第1回目洗浄後はカスケード群77分、4A群67分と10分の差が出ましたが、これは洗浄の際に生理的食塩液を45℃に加温して使用したため、それぞれの処理温度に到達するまでの時間に差が現れたためと思われます。

 

考察及びまとめ

 膜分離型プラズマフェレーシスは、体外循環技術に習熟している臨床スタッフを必要とするところから、透析施設でよく行われています。そこで、我々透析技術者が日頃見慣れているダイアライザーに対する評価と何か違うことに気がつきます。それらの内、今回は回路構成や温度条件等のメソードの違いにより、フィルターのSCに著しい変化が生じていることを紹介しました。これらはフィルターの選択、使用法、評価に当たり、欠くことの出来ない要素と思われます。従って、プラズマフェレーシス施行に当たって、特に臨床の際必要な、フィルター内温度、内圧、プラズマ処理量等の条件や回路構成等を含む使用法を確立させる必要があると思われます。例えば、内圧は+300mmHgとか、処理量は4Lにするとかの一定基準を考えるべきで、その上で個々の疾患に、また患者に適した適した治療条件を確立する必要があると思います。以上、ここに問題として提起します。

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