無酢酸透析液

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 第46回の本学会において酢酸濃度を4メックに低減させた低酢酸透析液による透析で酢酸不耐症の症例に効果があったことを報告し、第47回の本学会において、酢酸濃度4メックのHDを約2年間施行したが石灰沈着等による機器への影響がなかったことを報告した。

今回、さらに酢酸濃度を低下させて、2mEq/L、1mEq/L、0mEq/Lおよびそれらに塩酸を添加した透析液を作成し、pH、イオン化Ca、透析機器への影響を観察した。

 

方法:塩化Na、塩化K、塩化Ca、塩化Mg、ブドウ糖を通常透析液と同濃度に溶解し、酢酸量を変えて透析原液を作成した。

作成した原液を東レ社製個人用透析モニターTR-7000Sおよびニプロ社製個人用透析モニターNCU-12により希釈して使用した。

それぞれの濃度でpHおよびi−Caを測定し、また内部の石灰沈着は排液側の電磁バルブを分解して目視により確認した。

 

グラフは酢酸不耐症の症例です。透析法を替えたときの体重とCTRの変化を観察した。

酢酸濃度8mEq/LのHD(8mEq/L HD)の重曹透析から酢酸濃度3.5mEq/LのHF(3.5mEq/L HF)に替えたところ治療中の血圧維持が容易になり、透析後体重およびCTRを低下させることができた。

そこで酢酸を4mEq/Lに低減させたHD(4mEq/L HD)を施行すると同様の結果が得られた。

更にAFBFへと治療法を変えましたが、血圧管理が容易になり、体調も向上した。

透析終了後の透析室退室までの時間も、8mEq/LHDでは1時間以上かかっていましたが、5分程度で退室できるようになった。

4mEq/L HD、AFBFに治療法を変えたときに体重およびCTRが上昇していますが、体調が向上したため、飲食量が増加したのが原因であった。その後飲食事量がコントロールされたため体重およびCTRは低下した。

 

次に多人数透析の酢酸濃度について考察した。

グラフは8mEq/LHDによる透析前後の血清酢酸濃度である。無作為に選出した9例で透析後の酢酸濃度は0.4から2.5mg/dlと大きな個人差がみられた。

 

 

グラフは、8mEq/L HD後の血清酢酸濃度上昇が比較的大きい1.5から2.5mg/dlに上昇した5例で酢酸4mEq/LHDを施行して、同様の検査をした。

透析後の酢酸濃度は0.3から1.2mg/dlへと大きく低下した。

これらのことから4mEq/L HDは酢酸不耐症の症例に有効であると考えられた。しかし、本法においても透析後の血清酢酸濃度が上昇する症例があるため、更に酢酸濃度を低下させる試験を試みた。

 

 

酢酸濃度を低下させるとpHの上昇が起こりCaの沈着が起こりやすくなる。

写真1は無酢酸透析、開始直後の流量計である。流量計の石灰沈着は観察されなかった。

写真2の無酢酸透析液では開始1時間頃よりボールが白く石灰化してきた。4時間では完全に白くなり、この後1時間程度でバルブ等の目詰まりによりコンソールは流量停止した。

 

酢酸濃度を低下させるとpHの上昇によりイオン化Caが低下して石灰沈着をおこすため、pH調整に塩酸を追加して、酢酸と塩酸の濃度によるpHとi−Ca濃度について観察した。

グラフは酢酸と塩酸の濃度によるpHとイオン化Caである。使用した透析液のCa濃度は2.5mEq/Lであった。

オレンジの線より左の透析液ではコンソールへの石灰沈着が観察された。

pHは黄色の線が引かれた7.7以上になりi−Caは2.2mEq/L以下になった。

オレンジの線の右側の透析液では10時間使用後も石灰沈着はほとんど見られなかった。

この結果から酢酸のみでpHコントロールするには4mEq/L以上の濃度が必要と思われた。しかし、塩酸を1mEq/L添加した透析液では酢酸を0mEq/LにしてもpHはコントロールされていた。

従って、pH調整剤として塩酸を使用すると無酢酸の透析液が作成できる。

 

 

写真3はNCU−12の排液側バルブを分解したところである。

ブロック上のプッシュロッドは1番左が使用前のもの。

2番目は酢酸0mEq/L・塩酸1mEq/Lで10時間使用後ので、多少の石灰沈着はあるが機器の運転に支障はなかった。

3番目は酢酸2mEq/L・塩酸0mEq/Lで5時間使用後だが、使用時間が短いのにもかかわらず、2番目のものよりも石灰沈着は多くなっている。

1番右は酢酸0mEq/L・塩酸0mEq/Lで5時間使用したもので、石灰沈着がかなり多くなり、動作がスムーズではなくなっていた。

 

酢酸2mEq/L HDによるプッシュロッドの石灰沈着の啓示的変化を観察した。

1番左が開始直後、右へ順に2時間、4時間、6時間経過した状態である。6時間で石灰化が強くなっているが動作には支障がなかった。

 

結語

酢酸4mEq/Lの透析では3年間使用しても機器への問題は発生していませんが、酢酸2メックでは内部に多くの石灰沈着が見られました。また酢酸0メックの透析液では4時間から5時間の運転で石灰沈着による目詰まりを起こして使用不能になりました。

しかし酢酸を0mEq/Lにしても塩酸を1mEq/L添加すると石灰沈着はほとんど無くなり、10時間運転後で若干の石灰沈着がみられますが、運転に支障はありませんでした。

 

まとめ

1.透析液の酢酸濃度を4mEq/L以下にすると酢酸不耐症の症例の血圧維持が容易になる

2.酢酸4mEq/Lの透析液は持続使用しても機器への問題は現れなかった

3.酢酸2mEq/L以下の透析液では機器への石灰沈着により運転が不能になることがあるが、酢酸0mEq/Lでも塩酸1mEq/L添加することで石灰沈着をおこすことなく運転ができた

4.今後、どの濃度が機器への影響が少ないか、更に検討したいと思います。

 

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